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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第136号 ’02−05−10★
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自学自習
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●隠居年齢になれば
むしろ当然ですが、<冠婚>より<葬祭>の機会が増えます。 近ごろ
死は(少なくとも私においては)ほとんど悲しむべきものではなくなり、
現に会葬者同士、久闊を叙して和気藹々、、だったり。
そんなところで義兄に会い、もちろん彼も隠居の身なので、まさか退屈
などしていないでしょうね? と言いかけてその代わり、「相変わらず
少年野球、一生懸命?」
*
彼は一時期、サーモスタット屋に化ける前の我が社で働いたことがあり、
エヘン、私が監督で4番打者でキャッチャー(女房の名はサッチーでは
なかったが)という野球チームの誇る<鉄の左腕>投手、無敵でした。
事情あって我が社から去った彼は、仕事のほかは地域活動、中でも少年
野球の指導に打ち込み、たまに会えばその話ばかり。 そんなだった男
が今、「相変わらず?」に笑顔も無く「いや、、」
やめちゃったの? 「うん、ずいぶん前、、」 そりゃまたどうして?
「子供たちが可愛くなくなっちゃったんだ。 ある時から、ね」
何か心境の変化が? 「いや、変わったのは僕じゃない、連中の方さ」
へえ、どんな風に? 「どうって、、 とにかく、それまでのとは何か
違うのよ、、 可愛い、って気がまるでしない連中、、」
良からぬ思い出でもあるのか、そこでプッツリ。 いったい何が? と
思っていたら、
* *
4月某日の新聞に、それを説明するかのような記事を発見。 即ち生命
保険文化センターの<生活者の価値観に関する調査>によれば、
「他人に迷惑をかけても権利は権利として主張する」というのが10代
で39.3%、 20代で38.2%。 後者は(1996年の)前回
より一挙に15.7ポイント増だという。
「努力や訓練が必要なことはあまりやりたくない」が10代20.2%、
前回10.9%だったのがほぼ倍増。 「他人の権利を尊重していたら
自分に不利」と考える10代は31.0%。
これじゃチームワーク第一で練習を重ねる少年野球は運営困難。 その
手のは初めから来ないだろうけれど、来た子も時代の子。 似た傾向を
秘めていることに違いはあるまい。
面倒みる方も聖人じゃなし、喜んでもらえる喜びでやってるのに喜んで
くれてないことアリアリ、となったら続ける気も無くなるだろう。
* * *
しかし、人に捧げた好意や努力が必ず実るものでないこと、野球に限り
ません。 前号の我がスーパー・メカニシアンW君にしても、常に私と
一心同体だったわけではなく、、
もちろん機械や材料を介して向かい合う限り、物性という動かせない
基準があるので、認識の共有化は容易でしたが、、
ヒューマンな面では、特に肝心の(と私が思う)場面ほど<反対側>に
回る癖があって、ガッカリさせてくれること一再ならず。 第84号の
<労組オルグ>騒ぎの時も、
大変!と知らせてくれるどころか、「経営者横暴!」と叫ぶゴロツキの
側に付きやがった。 おい、そりゃ世間のキマリ文句だろ。 この私が
横暴かどうか、お前さんが誰よりも知ってるはず。 え?階級闘争?
バカだなあ、、、
そして結婚問題。 背負っている諸々のハンディキャップ(と彼は思い
込んでいた)を承知で自分を選んでくれた、という感謝のあまり彼女が
女神に見えた、、らしく盲目的。 私のアドバイスなど耳に入らない。
やむなく<暖かく>見守ったが永からずして別れ、<努力の成果>2児
の養育費をムシリ取られる悲惨、、 にも懲りず、再びアドバイス無視。
間もなく子連れの女性と再婚、、
仕事場ではその賢さで、<人生>ではその不可解さで、彼は何度も私を
驚かせました。 考えてみると、それらはすべて彼自身の選択。 私は
たまたま仕事の部分で少し助けになれただけ。 彼を育てたのは彼自身、
そう、ひとは勝手に育つもの、、 と悟りました。
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●育成に時間がかかる、
また必ずしも見込んだように芽を出すわけでもない、芽が出たら育って
必ず実が生るわけでもない。 <人材の育成>は(生き物を相手にする
割には)<農業的>な仕事です。
そして育てる(つもりの)側は多少とも期待を抱くのが普通で、それが
叶いそうに思える限りは情熱も維持できる。 そして大別、情熱を維持
させてくれる<弟子>とさせてくれない<弟子>、あるいは
育つタイプと育たないタイプ、の2種類。 または機会を掴むタイプと
掴まないのと、かも。 掴んでくれれば、少しは育つ。 うん、育った、
と思うから次の機会を提供する、、という循環が保てれば、あるいは、、、
*
私のアメリカ旅行初体験(第65号)直後、その土産話に何を感じたか、
(W君の同僚)S君が呟きました。「いいな、オレも行きてえな、、」
「OK、行かせてやるよ。 ただ君の場合遊びだから、社費で、は無理。
別に稼ぐ必要があるな、、 そうだ、<トイレ清掃>どうだ?」
毎日掃除せずとも良好な状態を維持すればOK、で給料のほか月1万円。
未だ旅行パックも無い時代、約100万円必要でした。 それを複利で
積み立てれば(当時の利率で)7年弱、その間に英語も上達するだろ?
しかし彼、「そこまでして、、」と受けず。 代わって、ぜひ私に、と
手を挙げたのはW君。 これは私が断わった。「いや、君には別の機会
が訪れると思うよ」。
* *
W君に<機会が訪れ>たのは6年後、シカゴ<アクメ金型スクール>の
通信教育最終課程で本校へ赴くという形で。
部品類は外注していた我が社でしたが、精度や性能の要求が高度化する
につれ自動順送型による加工の必要が生じ、しかし金型メーカーが全く
積極的、協力的でない。 やむなく
金型の自社設計製作を思い立ったが、何しろド素人。 一から模索して
前記通信教育にたどり着き、日刊工業新聞社が日本語版を提供していた
ので、<特攻>志願者を募ることに。 S君はその時も拒みましたが、
W君は大卒O君と二人で頑張り、そのスクーリングで渡米。 ついでに
観光も楽しんで念願を果たしました。 その年月、私は金型製作設備の
充実を並行させ、彼らに加工実技も磨かせ、、
まさに疾風怒濤。 その結果、当初「あんな初歩的講座は、、」と冷笑
していた金型メーカーすら見学に来るほど、急速に大進歩を遂げました。
あの達成感、充足感! 勢いづいて、
次は樹脂成形金型コース。 これには前記2名に加えてY(県)工場の
1名。 彼は現地採用、農業出身の35歳でしたが、W君と同様向上心、
向学心のカタマリ。 かのS君には、この時も<辞退>されてしまった。
* * *
かくて<自学自習>のサーモスタット屋は金型〜部品〜製品の一貫生産。
顧客ニーズへの対応が迅速的確、かつ積極的。 極端な一例は
家電S社から求められたTV受像器用過電流遮断器。 真空管式カラー
TVの時代、突入電流が大きかった。 ヒューズでも守れるが、回路の
リセットが出来ない。 それを何とか、、
市場既存品はどれも、帯に短し、、 と聞けば、身の程をもわきまえず
奮い立つのが「おたすけマン」。 サーモスタットでの経験を応用して
アイデアを生み、手作り品で実験し、製品設計を起こし、
1個取り金型で量産見本を作り、米国ULへ提出して承認を取得し、を
僅か2ヶ月で済ませたのだから、我ながら鮮やか、、 だったが、喜び
は味わえませんでした。 たまたまその<2ヶ月>間に
突如トランジスタTVの流行が兆し、(それには大突入電流が伴わない
ので)我々の新製品は哀れ無用になってしまったからです。 やれやれ、
獅子奮迅が骨折り損。 それだけに忘れがたい思い出です。
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●こう振り返ると、
目前の状況に対処し損なう人、見えている機会を捉え損ねる人、たとえ
捉えることが出来、うまくことを運んだとしても、成果を挙げ損ねる人、、
なかなか思い通りにはならないものです。
しかも成功への道は基本的に<自学自習>自助努力しか無く、もちろん
一朝一夕ではあり得ない。 となると、老いやすし。 若者に迷ってる
暇は無い、若者を迷わせておくわけには行かない。
*
しかし考慮すべき要素があまりにも増え、アタマの整理すらつきにくい。
整理できたとしても、これと決め、実行するのは本人。 オトナが自信
や勇気を失っているくらいですから、若者はさらに不安です。
どうしたら? と若者に訊かれることもあるでしょう。 どうします?
どうしようも無い、、でしょうな、困る、、でしょうな。 そこで思い
起こすのはお釈迦様の遺言、「自灯明 法灯明」。
入滅間近、師匠亡き後は、、と不安がる弟子たちに、自らを拠り所とし、
自ら切り開き、自ら築いて行きなさい、自然の法則を手がかりに、、と
諭されたそうで。
<自らを拠り所>するには、明確で説得的な目標と堅い決意が必要です。
それには<自然な法則>
Rational Process シート。 一目瞭然、示せば不十分の箇所も相手が補ってくれる。 掲げれば後へは退けなくなる。
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●人間は自分が思う通りのものになる、
と申します。 良い人生は良い考えから。 良い考えは、、 もちろん
<良い考え方>から。 問題は、親や教師や上司が、どんな<考え方>
を教えているか、です。
生命保険文化センターの調査結果や各界リーダーたち最近の芳しくない
行状の報道などから推定すると、、<良い考え方>を教えている、とは
残念ながら信じられません。
*
もちろん、教えられずとも<良い考え方>が出来る若者もいるでしょう
が、どんな考え方をしているかは確かめなきゃ分からない。 確かめる
には段階を刻み、事柄を分けて、、そう、
Rational Process 式で。
独自の<良い考え方>が出来上がった若者ならそれで前進させれば良し、
未だ不十分なら
Rational Process で、と勧めれば良し。 それが次の世代の<自学自習>を助ける第一歩です。
逆に若者もその方法で親や上司の考えを確かめ、方向や方法の修正
を図ることが出来ます。 それも自助努力。
■竹島元一■
■今週の
<私の写真集から>は ★不思議な気分★
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